親族相続法の法律用語の定義・論点集です。
用語 | 定義(その他制度趣旨) | 詳解 |
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親族 | ||
血族 | ||
姻族 | ||
婚姻 | 婚姻意思と届出によって成立する。 | 欧米などとは異なり、法律婚の成立には特別な儀式などは必要ではないとされる。 |
婚姻意思 | 形式説か実質説かで対立がある。 | |
婚姻意思の存在時期 | ||
婚姻予約 | ||
婚姻の取消 | ||
離婚 | 婚姻関係を解消する身分行為。 | |
協議離婚 | 協議によって婚姻を解消すること。 | かならずしも裁判手続を経る必要はない。 |
裁判上の離婚 | 協議離婚に比べると数は少ないといわれる。 | |
離婚意思 | ||
離婚意思の存在時期 | ||
内縁 | ||
外縁 | ||
普通養子 | ||
特別養子 | ||
実方 | ||
養方 | ||
養子縁組 | 縁組意思の合致と届出によって成立する。 | 普通養子縁組と特別養子縁組とがある。 |
縁組意思 | ||
縁組意思の存在時期 | ||
代諾養子縁組 | 797条1項。 | 無効な代諾縁組の、満15歳に達した本人による追認を認めた判例として、最判昭和27年10月3日。 |
虚偽の出生届 | 他人の子供を自分の嫡出子として出生届を提出する行為につき、養子縁組の意思が認めてよいかどうか問題になる。 | ”無効行為の転換”の事例。判例は養子縁組の要式行為性を強調し否定。 |
藁の上からの養子 | 他人の子を実子として出生届をして育てること。 | 日本では古くから行われてきた。 |
事実上の養子 | 当事者間に縁組意思の合致があり、届出はないが養親子としての共同生活が行われているという関係。 | |
身分占有 | フランス民法上の概念。 | 内田民法W260P参照。 |
養子縁組の客観的要件 | 792〜798条参照。 | 内田民法W261P参照。 |
夫婦共同縁組 | 795条。 | 昭和62年に現在の規定に改正。その制度の変遷につき、内田民法W262〜265P参照。 |
任意的共同縁組 | 共同縁組を要求されていない場合に、配偶者と共に養子縁組すること。 | |
夫婦共同縁組の例外 | 最判昭和48年4月12日参照。 | 子の福祉の観点が重要。 |
未成年養子 | ||
離縁 | ||
親権 | ||
親権共同行使の原則 | ||
監護権 | ||
利益相反行為 | ||
親権の濫用 | 行為の外形によって判断されるとするのが通説・判例。 | |
後見 | 未成年後見と成年後見とがある。 | |
保佐 | ||
補助 | ||
任意後見契約 | ||
扶養 | ||
相続 | 死者の財産が、その死者と一定の親族関係のあった者に帰属すること。 | 遺言相続と法定相続とがある。 |
相続の正当化根拠 | 多元的な説明がされる。内田民法W323P参照。 | @被相続人の意思A潜在的共有財産の清算B遺族の生活保障、などが挙げられる。 |
相続の開始 | 被相続人の死亡。882条。 | 相続開始の場所につき、883条。 |
相続人 | 相続の対象となる財産が帰属する者。 | |
被相続人 | 相続の対象となる財産を、相続の開始前に所有していた者。 | |
推定相続人 | 被相続人の死亡によって相続人となるべき地位にいる人。 | |
期待権 | 推定相続人の地位をもつこと。 | 現行法や判例上、その保護は弱いとされる。最判昭和30年12月26日参照。 |
相続欠格 | 一定の自由のある者が相続人の資格を失う制度。 | |
廃除 | ||
同時存在の原則 | 被相続人の財産相続によって相続人に移転するためには、相続開始の時点で相続人が存在していなければならない、という原則。 | 内田民法W333P。 |
代襲相続 | 内田民法W333P参照。887条2項。 | 「偶然の事情による利益・不利益をできるだけ避けるべし」という原理に基づく。 |
代襲原因 | 相続放棄は代襲原因にならない。根拠は887条2項(相続の開始以前・・・)。 | |
株分け説 | 内田民法335P参照。 | 昭和37年改正前までは孫など直系卑属にも固有の相続権が認められていたので問題になった。 |
再代襲相続 | 887条3項。内田民法W335P。 | 兄弟姉妹の代襲相続について定める889条2項は、887条3項を準用していない。 |
養子縁組前に生まれた子と代襲相続 | 「直系卑属(887条2項但書)」に当たらないので否定。 | |
胎児と代襲相続 | 886条1項により肯定。 | 胎児の権利能力についての学説も参照。 |
相続人の資格の重複 | 内田民法W337〜338P参照。 | |
包括承継 | 896条。内田民法W355P。 | |
単純承認 | 相続財産を包括的に承継すること。 | |
法定単純承認 | 921条1〜3号参照。 | |
限定承認 | 相続財産限りで債務を清算し、なおプラスがあれば承継すること | |
相続放棄 | 相続を拒否すること。 | 939条で遡及効が規定される。 |
熟慮期間 | 3ヶ月。915条1項。 | |
相続放棄後の第三者 | 相続の放棄には遡及効があることから(939条)、相続人の債権者などの利害関係人の利益を損なうのではないかが問題になる。 | そもそも、相続人の債権者の利益は相続という偶然発生した出来事に基づいているから、相続人の意思を優先しても良いと考えられる。(取消前の第三者や) |
相続放棄と詐害行為 | 相続放棄につき詐害行為取消権(424条)の適用が問題になる。 | 424条2項の「財産権を目的とせざる法律行為」にあたるとされる。最判昭和49年9月20日民集28−6−1202。内田民法W351〜352P参照。 |
占有権の相続 | 最判昭和44年10月30日民集23−10−1881参照。 | |
無権代理人の相続放棄 | 内田民法W352〜353P参照。 | |
事実上の相続放棄 | 内田民法W354〜355P参照。 | |
相続財産 | 相続の対象となるもの。遺産。 | 遺産分割の対象としての相続財産と一致する訳ではないとされる。内田民法W356P参照。 |
相続財産の例外 | 被相続人の一身に専属したもの(896条但書)。 | |
遺族給付 | ||
死亡退職金 | ||
遺族給付 | ||
生命保険金請求権 | ||
死亡退職金 | ||
遺族給付 | ||
祭祀財産 | 系譜(系図)・祭具(位牌・仏壇等)・墳墓(墓石・墓地)のこと。 | その所有権は相続の対象にならず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者が承継する(897条1項)。慣習が不明の場合につき、897条2項。 |
遺骨 | その所有権は死者の祭祀供養をつかさどる者に帰属すると解される(最判平成元年7月18日家月41−10−128参照)。 | 戦前のものでは相続人に帰属するとした判例有り(大判大正10年7月25日民録27−1408)。 |
相続分 | 法定相続分、具体的相続分などがある。 | |
法定相続分 | 被相続人の遺言により、別の割合を定めることは可能。 | |
具体的相続分 | ||
遺産共有の法的性質 | 共有か合有か問題になる。 | 文言上の根拠や物権法の原理との整合性を重視するか、それとも相続財産の団体的性質を重視するかが問題になる。 |
遺産分割 | ||
遺産分割の遡及効 | ||
共同相続人の担保責任 | 911〜914条。 | |
遺産分割後の第三者 | ||
相続回復請求権 | 884条。 | その法的性質をめぐっては、様々な説が対立する。 |
寄与分 | 相続人にのみ認められる。 | |
遺贈 | ||
死因贈与 | ||
遺言 | 法律家は”いごん”という読み方を好む。勿論”ゆいごん”と読んでもよい。 | |
相続人の不存在 | ||
遺留分 | ||
遺留分減殺請求権 |
<参考文献>
内田貴『民法W』(東京大学出版会、2002)